研究の背景

土石流の数値シミュレーションは、下記の項目に効果的

  • 災害規模の予測
  • 効果的な砂防構造物の検討

これまで多数のモデル・プログラムが提案されている

例えばKanako2Dでは

  • 効果的なGUI実装
    • マウス入力が可能
    • 入力条件(地形・ハイドログラフ・砂防堰堤,etc)や、計算結果(河床変動・水位変動・流量や流砂量)が画面上で確認できる
    • 計算過程をアニメーション表示できる
  • 既存のモデルを集約・統合・改良することで、広い領域を一つのシステムで計算可能
    • 急勾配の土石流区間から、土砂流、掃流区間まで
    • 砂防堰堤の種類、基数を変更可能

Kanako2Dや、他の土石流シミュレータの課題点
実地形を対象とする際は、地形データを設定する必要がある。

  • 地形データ作成は、地形図から手作業やソフトウェアを利用して作成することが可能
    • この方法は煩雑な手間を要する上、一般的に入手可能な地形図では精度に課題が残る
  • DEM(Digital Elevation Model)等の詳細な地形データを利用することが、正確なシミュレーションを行うためには必須
    • DEMから必要となる領域のデータを抽出し、シミュレーションに対応した形式へのデータ変換を行うには、特別な技術が必要
    • これまでは砂防が対象とする中山間地域の高精度デジタル地形データの入手が困難であった

航空レーザプロファイラデータ(LPデータ)

  • 平成20年度・21年度に全国の直轄砂防区域とその周辺地域を中心として、全国統一規格による精密かつ広範囲の砂防LPデータが整備
  • 砂防LPデータによって得られる3次元地形データ(DEM)
    • 全国統一の規格と精度(JPJIS,1m×1m以内)
    • 中山間地域を中心に国土面積の約15%(5万5千km2)をカバー
    • 危機管理や砂防調査において幅広い利用が期待される

砂防分野でのLPデータの課題

  • これらのデータは容量が大きい(Ex.一渓流で10GB程度)
    • 処理に時間を要する
  • 活用するためのツール開発が進んでいない

十分に活用されていないのが現状

研究の目的

土石流の2次元氾濫・堆積シミュレーションを実行出来る環境は、
個々の要素については整ってきた。

  • 扱いやすいシミュレーション手法が開発される
  • 高精度で広範囲に地形データが計測されたこと

そこで、次のようなシステムを構築

  • 高精度の砂防LPデータを活用
    • Sabo D-MACとの組み合わせ
  • 土石流シミュレーションを、簡便かつ精度良く実行するための統合システム

開発したシステムをHyper KANAKOと名付けた

機能紹介

主な機能

  • 一次元渓流の設定
    一次元渓流の設定
  • 二次元渓流の設定
    二次元渓流の設定
  • 堰堤等の構造物設定
    堰堤等の構造物設定
  • 横断図上での堰堤高設定
    横断図上での堰堤高設定
  • 縦断図上での堆砂勾配設定
    縦断図上での堆砂勾配設定
  • GIS上でのシミュレーション結果表示
    GIS上でのシミュレーション結果表示

シミュレーション結果の三次元表示

シミュレーション結果の三次元表示

NEW(2012/12/10)
動画をUpしました。
注:動画が開始するのに少し時間がかかりますので、遅い時は適当に早送りしてください。

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